野菜と筋力との関係

(2021年3月29日 16:06)(外来リハビリブログ)

こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

本日のテーマは野菜と筋力との関係です。
一般的に筋肉に関係するのは肉や魚などのたんぱく質の食品ですが
葉物野菜に多く含まれている「硝酸塩」というものが筋力に関係している
ことが報告されてきています。

硝酸塩はほうれん草などの葉物野菜に多く含まれています。

具体的なデータとしては
  1. 硝酸塩の摂取が多い人たちは少ない人たちと比較し握力が4%強く、TUG(椅子から立つ、方向転換、歩く速さのテスト)が5%速かったとの報告もあります。(Marc Sim 2019)
  2. 硝酸塩摂取が多い人たちは身体活度量と関係なく膝伸展筋力が強くTUGが早い結果になっています。(Marc Sim 2021)
  3. 硝酸塩をサプリで摂取した人達としてない人たちで10kmのタイムトライアルを行うと2,3,4週間目では摂取した人たちの方がタイムが早くなる。(Jeferson Santana 2019)

参考としては①、②の研究ともに硝酸塩の摂取が多い人たち(筋力などの結果が良かった人たち)は約90mg程度摂取しています。

具体例としては赤ビーツでは1.4g/㎏(=1400mg) (西村 2020) があります。
また、1日350gの野菜摂取を行って硝酸塩を測定した研究では2種類の献立で321mg、245.7mgの結果になっています。
(村田 2009)

意識して野菜を摂取している人はあえて今以上に摂取する必要はないと思いますが
全然食べていない人は筋力やパフォーマンスにも関係してきますので
しっかりと食べていきましょう!

引用文献
①Marc Sim Dietary nitrate intake is associated with muscle function in older women Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2019; 10: 601–610
②Marc Sim Dietary Nitrate Intake Is Positively Associated with Muscle Function in Men and Women Independent of Physical Activity Levels The Journal of Nutrition, nxaa415 2021.
③Jeferson Santana Nitrate Supplementation Combined with a Running Training Program Improved Time-Trial Performance in Recreationally Trained Runners.Sports 2019, 7, 120; doi:10.3390/sports7050120
④西村 運動能力向上に寄与する道産食品の開発研究 ─悪風味除去可能な調理技術の確立─Bulletin of the Northern Regions Lifelong Sports Research Center Hokusho University Vol.10 2020.
⑤村田 1日あたり350g以上の野菜を使った食事中の硝酸塩および亜硝酸塩の含有量調査  食衛誌 Vol. 51, No. 1 2009
北海道千歳市リハビリ病院 外来リハビリ班、朝練で知識・技術向上中33

(2021年3月27日 16:34)(外来リハビリブログ)

こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

本日は朝練です。
テーマは頸椎(首)の伸展時(うしろにそらす動き)の痛みに関してです。
20210327外来.jpeg
頸椎は頭を支える背骨の首の部分で
近年はスマホの使用時間の増加でのストレートネックなどが
問題になることも多いと思います。

また、頸椎の動きで痛みが出現する事があっても
頸椎の検査はもちろんですが、その周囲の肩甲骨や胸椎の動きが
悪いことでも痛みが出る事があります。
なので肩甲骨や胸椎などの背骨も合わせて検査・触診する練習を行いました。

『木を見て森を見ず』なんてことにはならないように
細部と全体を合わせて考えるように練習をしています。

今回で今年度の朝練が終了しました。
次年度も頑張ります!
運動後の回復のための糖質摂取に関して

(2021年3月25日 18:44)(外来リハビリブログ)

こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

皆さんは運動後に身体をいたわっていますか?
翌日への回復のために効率的に身体を回復させることができれば
運動もイヤになりにくいですし長期的な継続につながると思います。

今回は運動(筋トレなど)後の身体への回復のためにどうすれば良いのか?というテーマでやっていきます。

筋トレのような瞬発的な運動では身体の中の栄養として主に糖質が使われます。
糖質とは主にご飯やパンに含まれる栄養素です。
筋トレなどの運動を行った後には身体を回復させるためにも糖質を摂取する事が重要になってきます。
※この場合の回復の定義として、筋肉に筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられ糖の一種で筋肉の収縮のためのエネルギー)が貯蔵されることとします。

メディア等では低糖質ダイエットや糖質制限といった言葉も流行りましたが
しっかり運動していく中では身体を回復させるためにある程度の糖質をとる事が必要になってきます。
どんな方法で糖質をとっていけば良いのかを解説していきます。

①どのくらい糖質をとっていくのか?いつ取れば良いのか?
20210325外来.jpeg
具体的にどのくらいの食物の量かと言いますと、運動後は体重1㎏あたり1g、ハードな運動後は体重1㎏あたり10gの糖質摂取が必要です。体重60kgの方を例にすると、運動後(1g/kg)は60g、ハードな運動後(10g/kg)は600gの糖質摂取が必要です。ご飯で換算すると茶碗一杯が100gとして運動後は2,7杯、ハードな運動後は16杯になります。

上記はあくまでアスリート向けの基準となっていますし、実際はご飯のみで摂取することはないので飲料等でも効率的に摂取する必要があります。
   
糖質と一緒にたんぱく質も摂取する事がおすすめされます。
他の研究では糖質と一緒にたんぱく質も摂取した方が筋肉への筋グリコーゲン貯留が多かったという報告もあります。(JOHN L. IVY 2002)

②どんな種類の食品を摂取すると良いのか?(具体例)
固形でも液体でも24時間後の回復に関しては差がないとの報告があります。(Parkin, J.A 1997)
運動中や運動直後は内臓よりも筋肉へ血液が豊富なのですぐに回復する必要があるのであれば固形物よりも飲料での摂取の方が内臓の負担という観点からも望ましいと思います。
難しく考えずおにぎりやジュースなどで摂取していけば良いと思います。
(コンビニ等の商品では栄養素が書いてあるので計算もしやすいです)
 
一般の人に関してはアスリートの基準に沿って行わなくても良いですが
大事なことは筋トレをすると糖質が使われて筋肉が回復するためには
糖質をとることが必要になるということです。

引用文献
①Burke LM, Kiens B, Ivy JL.:Carbohydrates and fat for training and recovery. J Sports Sci.22 ,pp15-30, 2004.
②JOHN L. IVY Early postexercise muscle glycogen recovery is enhanced with a carbohydrate-protein supplement J Appl Physiol 93: 1337–1344, 2002.
③Parkin, J.A., Carey, M.F., Martin, I.K., Stojanovska, L. and Febbraio, M.A. 1997. Muscle glycogen storage following prolonged exercise: effect of timing of ingestion of highglycemic index food. Med. Sci. Sports. Exerc. , 29(2): 220-224

通所リハビリブログ 第51号 介護勉強会(レク)

(2021年3月22日 18:09)(通所リハビリブログ)

こんにちは!北星病院通所リハビリ広報部です!
 
今回は業務終了後に介護スタッフ主催の勉強会を行いましたので、その様子をお伝えします。内容は「レクリエーションの工夫」についてでした!
 
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レクリエーションはただ身体を動かすだけではなく、
①頭を使う②指先を使う③音楽や歌、異世代交流など様々な目的をもって行っています。
 
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実際に新聞紙を使ったゲームを職員でやってみました!
ルールは制限時間内に手をグーにして新聞紙を何分割できるかで、より多く分割できた人が勝ちです!
 
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その他にもスプーンや洗濯ばさみ、ペットボトルキャップなど生活に馴染みのあるものを使ったゲームや逆さ文字を当てる頭を使ったゲームなども例として挙げられていました。
 
現在、通所リハビリセンターでは午前午後と毎日レクリエーションを行っており、「楽しかった」「たくさん笑った」など多くのご利用者様から嬉しい言葉を頂いています。
週替わりで異なるレクリエーションを行っているため、今回の勉強会を参考に今後もご利用者様に楽しんでいただけるようなレクリエーションを行っていきます!
 
ご興味のある方などいらっしゃいましたら、体験利用も受け付けておりますので、ご連絡いただければと思います!
 
以上、北星病院通所リハビリ広報部でした!
 

睡眠不足は怪我のもと!?

(2021年3月22日 18:07)(外来リハビリブログ)

こんにちは!
北星病院外来リハビリ班です。

本日のテーマは
「睡眠とケガの関係」です。

皆さんも寝不足で運動すると気持ち的にも辛いし集中できないことを
感じた事がありませんか?
私は部活動をやっている時の朝練や早朝からの試合などで
眠気をこらえて運動し、辛かった記憶があります。

睡眠不足はプレーの質だけでなくケガをしてしまう確率も上昇してしまうと
言われています。
実際にどの程度ケガの危険性が上がるでしょうか?
なんと「1.7倍」です!(Matthew D Milewski 2014)

どんな条件での研究でこのデータが得られたかというと
中学生と高校生160名の学生アスリートと112名の青年期アスリートからの調査です。
睡眠が8時間以上と8時間未満での比較した研究です。

他の研究では睡眠時間が2週間、6時間未満の状態の人は
2週間後には2晩徹夜した人と変わらないほど脳のパフォーマンスが
落ちるというデータもあります。(Hans P.A.  2004)
これは一般の方でも当てはまる事が多いのではないでしょうか?

寝溜めすることは科学的に根拠がないと言われているので
毎日7~8時間程度は意識して寝る事が必要ではないでしょうか?

これからの季節、移動や就職などで環境が変わり忙しくなる人が増えると思いますが
睡眠不足には注意して生活しましょう!

睡眠に関係した過去記事もご参照ください。↓

・睡眠と身体の関係
https://www.hokusei.or.jp/hokuman/2021/03/post-318.html

・枕の高さに関して(簡単なチェックポイントもあります!)
https://www.hokusei.or.jp/hokuman/2021/03/post-321.html



引用文献
①Matthew D Milewski Chronic lack of sleep is associated with increased sports injuries in adolescent athletes J Pediatr Orthop. 2014 Mar;34(2):129-33.
②Hans P.A. Van Dongen The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. Sleep. 2004 Jun 15;27(4):600